新境地を開拓したピカソ

ピカソの生きた時代は、まだまだ写実主義が幅を利かせていて、画家たちは本物のように精密に描けるかどうかを争っていました。
本物そっくりに描くことができる画家が素晴らしい、そんな風潮があったのです。
ところが、そのような風潮の中で、ピカソはあのような抽象的な絵画を生み出しました。
これまでに見たことがない絵画は、構図は自由自在、しかも美しくさえありません。
それまでの絵画は、観たままの構図、そして美しいものを描くことが至上命題であったのに、その既成概念をものの見事に打ち壊してしまったのがピカソなのです。
初期、幼いころから精密な絵画の技法を身につけていたにも関わらず、その殻を破って新境地を開拓したのです。
最初、自由過ぎるために受け入れられなかった絵画は、その真価を正当に評価する天才によって見いだされました。
今では、新しい時代を開拓した先覚者として、大きな賞賛を得ていることは誰でもご存知のことでしょう。